根底としてイアンさんは音楽を愛していて、それをビジュアル化する喜びを感じていると思います。一体どういうプロセスで音楽をビジュアルに変換していくのか、音とヴィジュアルとの関連性を聞かせてください。例えば、代表的なアートワークで<ワイプアウト、エイフェックス・ツィン、オウテカ、スーパーグラス>などがありますが‥。
音と映像の関係って凄くシンプルだと思うんです。というのは、心理学を勉強していたこともあったんですけど、やっぱり違うものを2つ組み合わせると脳とか頭って、それを一生懸命繋げるためにとても複雑な動きをするもので。でも、やっぱり音を聴いた時に素直に浮かぶ映像とか感覚があって、僕はそれを複雑にするよりも合わさる2つを素直に創り上げて行くことが多いんだ。だからきっと、その音を聴いた時にそこに在るものを引き出すっていうことが自分のプロセスなんだ。でも実はアートワークを作る時に関しては、もしかしてあんまり音を聞いていないのかも。やはり、このアートワークを何に近づけたいかって考えた時、アーティストが、この作品を作った時に彼らが何を感じていたかっていうことにアートワークをリンクさせたくて。だから、彼らがその時に感じていて、そのインスピレーションによって完成させられた作品に自分のアートワークをもう少し繋げたい。そこに戻りたいって思って、ジャケットのアートワークを作る時はそこにフォーカスしていますね。
音をそのままアウトプットするんじゃなくて、音を発している対象を一緒にアウトプットしている訳なんですね。
そうですね、アーティストの感情とかその時に何を感じていたかってことより、例えばアーティストが木にインスピレーションを感じてその作品を作ったとしたら、何で彼がその木に興味があったかっていうとこではなく、その木を自分自身も見て、感じること。そこから映像とかアートワークを作り上げる。こういうプロセスを自然に自分に持つことで、彼らがインスパイアされた気持ちと近いシナジーが大きく生まれる、そこがポイントですね。
“ミュージシャン対アーティスト”っていうよりは“人対人”でモノを作ってる訳ですね。
自分がどうして音楽から商業的なものまで色々と制作が出来るかというと、物を作る時、「誰に、何を、どう伝えたいか」っていうのを凄く考えるようにしています。例えばオウテカの作品も、もちろん彼らの音楽や彼らのインスピレーションも含めてアートワークを作ってるのですが。けれど凄く哲学的なところというか「“オウテカ”というアーティストのオーディエンスはどんな人達で、どういうものに刺さるのか」っていうところまで考えているんだ。物とそれに届く人の間に入るのが僕。こんな風に物事を考えるようにしています。他で例えると、オウテカを女装させてユニークにアートワークとして作ったとしたら、違うバンドだったらそれは面白いのかもしれないけれど、彼らのファンは凄くシリアスな人達が多いから絶対に届かない。だから彼らのインスピレーションも大切ではあるけれど、誰にどういう形で届くかってことを沢山考えて作っています。