TIMOTHY SACCENTI

Zoom Magazine
Battles “Atlas”
Battles “Atlas”
The Hundred In The Hands
The Hundred In The Hands
INTERVIEW02
自分の仕事によって他のアーティストの
持つ経験や情報というものにアクセスできる、
『フリーパス』を与えられているような
気分になるんだ
これまで数多くの個性的なミュージシャン達と一緒に仕事をされていますね。あなたにとって、ミュージック・ビデオのディレクションやミュージシャンの写真を撮る面白みとは何でしょうか?
「ミュージック・ビデオをディレクションする面白み、そして数々の音楽作品のためにイメージをつくりあげるという行為の最大の面白みといえば、すでに『音』という形で存在しているアートを、さらに『ビジュアル』というフォーマットに翻訳していくプロセスだろう。その音楽や歌詞の意味に対してたくさんの疑問を持ち、結果として歌詞の本当の意味を学んだり、コードの深みや楽曲のリズム、そしてタイミング一つひとつの意味を意識しながら得たアイデアというものが、最終的なゴールに向かって自分やコラボレーションする人々の美的感覚のフィルターを通過しながら、出来上がっていくんだ。このプロセスは、自分が知らなかった世界のあらゆる側面に自分自身を露出させることそのもので、もし違う仕事をしていたら決して経験できなかったに違いないよ。錬金術みたいなものだし、時によってはマジカルな現象が起きるんだ。僕はまれに、自分の仕事によって他のアーティストの持つ経験や情報というものにアクセスできる、『フリーパス』を与えられているような気分になるんだ。それはなんとも幸せなことだよ」
では逆に、一番大変な側面とは?
「そうだね……。楽曲や音楽というものは、それを生み出したアーティストにとっては自分の『子ども』のような存在だ。つまり、僕は音楽という素材を生まれたばかりの赤ちゃんのように扱い、愛情をもって育て、優しさと尊敬を持って接し、そしてその価値に見合ったビジュアルを提供しなければならない。もちろん、やり甲斐はあるけどね」
The Hundred In The Hands
The Hundred In The Hands
MNDR
MNDR
MNDR
MNDR
INTERVIEW02
自分の仕事によって他のアーティストの
持つ経験や情報というものにアクセスできる、
『フリーパス』を与えられているような
気分になるんだ
あなたは最近、サンタナの新譜の写真撮影も手掛けられたそうですね! サンタナとの仕事はいかがでしたか?
「僕は沢山のレーベルに恩人がいて、彼らの存在なしではここまで仕事をしてこれなかったと思っているよ。彼らはこれまで、普通だったら僕のテイストが実験的すぎると感じるに違いないアーティスト達にも、あえて僕をプッシュしてきてくれたんだ。サンタナのプロジェクトも、そんなケースの1つだね。<ソニー・ミュージック>にとある素晴らしいクリエイティブ・ディレクターがいて、ラッキーなことにこれまで僕らは様々なプロジェクトで一緒に仕事をしてきていたから、彼が僕を強力に推薦してくれたことで実現したんだ。ミスター・サンタナは、一歩部屋に足を踏み入れただけでその場にエネルギーを充満させてしまう…。そんな力があるね。彼は自身の知名度というものを、ヒューマニックで博愛に満ちた多くの名曲に置き換えてきた人で、そんなサンタナの寛大な人柄は、彼の存在感そのものに現れていると思う」
思い出深いエピソードはありますか?
「撮影そのものは彼がソロで演奏しているのを撮影したものがほとんどで、僕らクルーにとってはユニークな照明セットの中での撮影経験となったよ。あのカルロス・サンタナが、僕らのために何時間もプライベート・ショーをやってくれたんだ! それってすごいことじゃない? しかも撮影の最後に、彼はサイン入りのギターをプレゼントしてくれたんだよ。彼は本物のジェントルマンであり、素晴らしい人間だ。とても良い1日だったよ」
サンタナのようなビッグ・アーティストに加え、MNDRや<ワープ>のハンドレッド・イン・ザ・ハンズといった期待の新人とも一緒に仕事をされているそうですね。彼らのような新人の、どこがスペシャルであると感じましたか? 著名なアーティストと新人とでは、あなたがプロジェクトを手掛ける時にアプローチは異なるのでしょうか?
「僕のアプローチは、たとえどんなプロジェクトであっても常に同じもの。僕の仕事は、メッセージというものをビジュアルを通じて伝えていくことなんだ。だから、僕はそのメッセージというものを見つけ出すために、人と会って話したり、ミーティングをすることもあれば、過去の作品をリサーチしたり、ただ暗い部屋に座って彼らの音楽を聴いて、僕の中でどんなイメージが浮かんでくるか試してみたりする。そうやって得たアイデアをオープンな気持ちで、アーティストの元へ持っていって、彼らが本当に求めているものは何なのかを僕が完全に理解できるまで、決してやめないんだ。要するに、オープンな気持ちと心を持ち続けるということが重要だよ。僕はMNDRやハンドレッド・イン・ザ・ハンズといった真のアーティストであり、僕を理解してくれる視点のあるアーティスト達と一緒に仕事ができて幸運だと思う。それだけで、僕の仕事は本当に充実するんだ! でも、僕はビッグ・スターだろうが、これから大きくなっていく新人であろうが、決してアプローチやプロセスを変えることはしないよ。なぜなら僕の気持ちの中で、それぞれのアーティストというのはすでに魅力的に輝いていて、美しい光をまとった狼煙のように見えているんだ」