これまで手掛けた<ドミノ>のアーティストのアートワークで、一番挑戦色が強く、クリエイティヴなプロセスを経たものは何でしょうか? その時のエピソードをお聞かせください。
「フランツ・フェルディナンドの2nd『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』のアートワークを手掛けた時のことなんだけど、いざアートワーク製作を終えて印刷に出そうというときに、”ウォーク・アウェイ”という楽曲の歌詞が抜けていることに気付いた。メンバーのアレックス(・カプラノス)が、古い教科書に手書きで歌詞を描いて、それをアートワークに使用していたんだが、なぜかその1曲だけ抜け落ちてしまっていたんだ。僕がそれに気付いたとき、フランツのメンバーは丁度ベルギーのフェスティバルに出演していて、周りに何もないような場所にいた。しかし幸運なことに、アレックスが他の曲の歌詞を書いたときに使った同じペンと、似たような教科書も持っていたんだよ。そこで彼は、なんとかフェスの会場でスキャナーを持っている人を見つけてくれた。おかげで、締切直前のかなりギリギリのタイミングで、抜けていた1曲分の歌詞を追加することができたんだ。おそらくアメリカ盤のLPでは、歌詞が抜けたままのものが出回っていたと思うけど、それは相当レアなはずだよ」